「PayPayを導入したいけど、手数料はいくらかかるの?」「売上金はいつ振り込まれるの?」とPayPayの導入を検討している人もいるでしょう。
PayPayの決済手数料は1.60%~1.98%で、入金サイクルは月一回ですが、他サービスと比較したうえでご自身の事業に合ったサービスを選ぶほうがよいです。
この記事では、PayPay加盟店が負担する手数料の種類、他社サービスとの詳細な比較、そして売上金の早期現金化を可能にする入金サイクルの仕組みを徹底的に解説します。
これらの知識をもとに、PayPayを最もお得に、そして効果的に店舗運営に組み込むための方法をご紹介します。
PayPayの決済手数料は1.6~1.98%
PayPayの決済手数料は、2021年10月1日をもって無料期間を終え、有料化されました。
有料化後の決済手数料(決済システム利用料)は、加盟店の契約内容に応じて1.60%または1.98%(いずれも税別)のいずれかが適用されます。
この手数料率は、他の主要なキャッシュレス決済サービスやクレジットカード決済の手数料と比較しても、業界最安水準を維持しています。
たとえば、スマホ決済の多くは2.60%以上、クレジットカード決済は中小規模の事業者で2.50%〜3.75%(相場では2〜6%ほど)が一般的であることを考えると、PayPayの手数料は大幅に低い水準と言えます。
PayPayの決済タイプによっても手数料の目安が示されています。
| 決済タイプ | 手数料 |
| QRコード決済タイプ(ユーザースキャン方式) | 1.60%または1.98%(税別) |
| マルチ決済端末タイプ(PayCAS Mobile) | 1.98%〜 |
お客様が1,000円の商品をPayPayで支払った場合、手数料1.98%であれば約20円、1.60%であれば16円が売上から差し引かれることになります。
PayPayの決済手数料を1.60%にするための条件
PayPayの決済手数料を優遇料率である1.60%(税別)にするためには、「PayPayマイストア ライトプラン」に加入することが必須条件となります。
| プラン | 決済手数料(税別) | 月額費用(税別) | 適用条件 |
| PayPayマイストア ライトプラン | 1.60% | 1,980円/店舗ごと | すべての加盟店店舗で当プランを利用すること |
| PayPayマイストア 制限プラン | 1.98% | 無料 | ライトプランに未加入の場合 |
「PayPayマイストア ライトプラン」とは、PayPayアプリ内でクーポン配信やスタンプカードなどの販促機能が利用できるようになる店舗向けの月額制サービスです。
ライトプランに加入することで、未加入の場合(1.98%)と比べて0.38%低い料率が適用されます。
この月額費用(1,980円)を考慮すると、PayPayの決済金額が少ない店舗では、月額費用がかかる分、かえってコストが高くなってしまう可能性があるため注意が必要です。
ライトプランに加入する方がお得になる月間決済額の境目(損益分岐点)は、おおむね約
したがって、PayPayでのクーポン配信を特に予定していない場合でも、毎月のPayPay決済額が52万円を超える店舗は、ライトプランに加入した方がトータルのコストを抑えられます。
逆に、月間決済額が52万円未満の場合は、制限プラン(未加入)の1.98%を利用する方がお得になります。
なお、ライトプランへの加入申込みは、翌月1日から適用を受けるためには毎月19日までに行う必要があります(20日以降だと翌々月1日からの適用となります)。
また、ライトプランの新規申込みでは、初期費用(通常1,980円)と、加入月とその翌月の月額利用料1,980円が無料になるトライアルキャンペーンが適用される場合もあります。
入金手数料・解約手数料は無料
PayPayは、導入時の初期費用や解約時の手数料が無料であることが大きなメリットです。
導入費用・初期費用(0円) PayPayの導入にかかる初期費用は無料です。
特に、お客様がQRコードを読み取る「ユーザースキャン方式」を採用する場合、専用の端末機を購入したりレンタルしたりする必要がなく、PayPayから無料で郵送されてくるQRコードを店舗に設置するだけで導入できます。
この手軽さは、資金面に制約が多い個人事業主や小規模な店舗でも導入しやすい要因となっています。
解約手数料(無料) PayPayは、解約手数料もかからないため、いつでも無料で解約することが可能です。
通常の入金手数料(無料) 売上金を銀行口座に振り込む際の入金手数料は、月1回の通常の振込に設定した場合、金融機関を問わず無料となります。
通常の振込サイクルは「月末締め・最短翌日入金」です。
PayPayの手数料以外にかかる費用
PayPayを導入・運用するにあたり、決済手数料や月1回の入金手数料以外に発生する可能性がある費用は以下の通りです。
| 費用項目 | 内容と条件 |
| PayPayマイストア ライトプラン月額料金 | 1,980円(税別)/店舗ごと。 決済手数料を1.60%にする場合や販促機能を利用する場合に発生 |
| 早期振込サービス利用料・手数料 | 売上を月1回以外で即時入金する場合に発生。 サービス利用料(自動・都度)として振込金額の0.38%、加えて振込手数料(PayPay銀行:20円、他行:200円)が必要 |
| マルチ決済端末(PayCAS Mobile)関連費用 | 電子マネーを利用する場合、別途月額費用1,020円/台が発生。 また、4年以内の解約時には違約金が発生する場合がある。 |
| ストアスキャン方式関連費用 | お客様が提示したバーコードを店舗側が読み取る方式の場合、専用のスキャナーやPOSシステムが必要となるため、それらの機器導入費用が別途かかる場合がある |
| 販促機能の利用料 | PayPayクーポン利用料(クーポン適用された売上金の3%)や、PayPayスタンプカード利用料(キャンペーンの原価と同額)など、集客機能を利用した場合に発生 |
特に、早期振込サービス(自動入金)を年間を通して利用する場合、「入金額に対して0.38%のサービス利用料」が掛かるため、決済額によってはかなりの金額がコストとして取られてしまう点に注意が必要です。
PayPay以外の決済サービスの決済手数料
PayPayの決済手数料が他の主要なキャッシュレス決済サービスと比較して、どの程度の水準にあるかを確認します。
PayPayは、決済手数料が有料化された後も業界最安水準を維持していることが分かります。
| サービス名 | 決済手数料(税別/目安) |
| PayPay | 1.6%もしくは1.98% |
| au PAY | 2.6% または 2.6%~ |
| d払い | 2.6%~ または 2.60% |
| 楽天ペイ | 2.95% または 3.24%前後/3.24% |
| メルペイ | 2.60% または 1.5~3% |
| クレジットカード | 2.50〜3.75% または 2~6%ほど |
手数料は、プランやキャンペーン、導入経路(直接契約か決済代行会社経由か)によって変動する場合があります。
PayPayの入金サイクル(支払いサイト)と振込手数料
入金サイクル(支払いサイト)とは、キャッシュレス決済で受け付けた売上が、現金として金融機関口座に振り込まれるまでの日数や頻度のことを指します。
特に、事業資金に余裕がない場合や現金仕入れが多い事業者にとっては、入金サイクルが早い決済代行サービスを選ぶことが重要です。
PayPay(直接契約の場合)の入金サイクルは、基本的な設定(通常振込)と、急いで現金が必要な場合に利用できる「早期振込サービス」の2通りがあります。
PayPayの通常の振込サイクル(月1回入金)
PayPayの通常の振込サイクルは、金融機関を問わず月1回で、振込手数料は無料です。
通常の入金スケジュールは「当月末締め」で、登録の金融機関によって入金日が異なります。
この月1回の入金にまとめることが、PayPayのコストを最小限に抑えるための重要なポイントです。
| 振込先の金融機関 | 入金サイクル | 決済から入金までの日数(目安) | 振込手数料 |
| PayPay銀行 | 月1回(当月末締め) | 翌日 / 1~34日 | 無料 |
| ゆうちょ銀行 | 月1回(当月末締め) | 4営業日後 / 1~34日 | 無料 |
| その他の金融機関 | 月1回(当月末締め) | 翌々営業日 / 1~34日 | 無料 |
月末締めの場合、PayPay銀行であれば翌日に、その他の金融機関であれば翌々営業日に入金されるため、比較的早いサイクルで売上を現金化できると言えます。
PayPayの早期振込サービス(即時入金)
PayPayでは、通常の振込サイクルを待たずに売上金を受け取れる「早期振込サービス」(即時入金)が用意されています。
このサービスは、すぐに現金が必要な場合に便利です。
ただし、早期振込サービスを利用する場合は、入金手数料とサービス利用料が発生します。
早期振込サービスには、「都度入金」と「自動入金」の2種類があり、いずれもすべての加盟店が利用可能です。
| 項目 | 早期振込サービス(都度) | 早期振込サービス(自動) |
| 振込タイミング | 加盟店管理画面から任意のタイミングで振込申請 | あらかじめ設定した金額(1円〜10万円、1万円刻み)に達した日に自動で入金処理開始 |
| 入金スケジュール | 振込依頼日を起点に、PayPay銀行:翌日、ゆうちょ銀行:4営業日後、その他:翌々営業日 | 設定金額超過日を起点に、PayPay銀行:翌日、ゆうちょ銀行:4営業日後、その他:翌々営業日 |
| 利用コスト | 都度振込利用料 0.38%(売上金額に対して) + 振込手数料(PayPay銀行:20円、他行:200円) | 自動振込利用料 0.38%(売上金額に対して) + 振込手数料(PayPay銀行:20円、他行:200円) |
| 申込の有無 | 不要(管理画面から申請可能) | 必要(年商10億円未満の加盟店が対象) |
早期振込サービスを利用する場合、PayPay銀行を振込先に指定することで、振込手数料が他行に比べて安価(PayPay銀行:20円、他行:200円)になり、入金サイクルも若干早くなります。
そのため、早期振込サービスを利用する可能性がある場合は、PayPay銀行の事業用口座を併せて開設することがおすすめされています。
PayPay以外の決済代行サービスとの入金サイクル比較
入金サイクルを重視する事業者は、PayPayだけでなく他の決済代行サービスとの比較検討が不可欠です。
入金サイクルや振込手数料は、振込先の金融機関や入金額によって変わるサービスがほとんどです。
特に、振込手数料が有料のサービスでは、入金サイクルが多ければ多いほど、負担する手数料が増えてしまうため、手数料無料の条件と合わせてチェックが必要です。
以下に、個人事業主など小規模事業者でも導入しやすい主要な決済代行サービス7社(PayPay含む)の入金サイクルを比較します。
| サービス | 通常の入金サイクル | 最短入金サイクル | 振込手数料 |
| PayPay(直接契約) | 月1回 | 翌日 (早期振込サービス利用時) | 無料 (通常時) |
| Square(スクエア) | 週1回 (その他の金融機関) | 翌営業日 (三井住友、みずほ銀行) | 無料 (金融機関を問わず) |
| Airペイ(エアペイ) | 月3回 (その他金融機関) / QRコード決済分のみ月1回 | 月6回 (三井住友、みずほ、三菱UFJ銀行) | 無料 |
| stera pack | 選択可(月6回、月2回など) | 翌2営業日後払い(毎日締め) | 三井住友銀行は無料、他行は税込220円/回 |
| 楽天ペイ | 翌営業日 (他行/振込依頼後) | 翌日入金 (楽天銀行) | 楽天銀行は無料、他行は330円/回 |
| STORES 決済 | 月1回 (自動入金) | 翌々営業日 (手動入金) | 自動入金は無料、手動入金は10万円未満200円 |
| PAYGATE | 月2回 / QRコード決済分のみ月1回 | 月2回 | 無料 |
PayPayは通常入金では月1回ですが、早期振込サービスを利用すれば最短翌日入金が可能であり、この速さは他社サービスに匹敵します。
特に、Square(スクエア)は金融機関を問わず振込手数料が無料で、三井住友銀行またはみずほ銀行であれば翌営業日入金が可能であり、優れた入金サイクルと言えます。
楽天ペイも楽天銀行を指定すれば翌日入金・手数料無料となり、優れています。
PayPayを導入する場合、通常の月1回入金(手数料無料)を基本としつつ、緊急時には早期振込サービス(PayPay銀行利用で手数料最安)を活用することで、資金繰りの柔軟性を確保できます。
手数料と入金サイクル以外でPayPayを導入するメリット
PayPayは決済手数料が有料化された後も、多くの店舗が導入を続ける明確な理由があります。
手数料の安さや入金サイクルの速さ以外にも、PayPayは以下のメリットがあります。
- 機会損失を防げる
- 会計業務を効率化できる
- 人的ミスを減らせる
機会損失を防げる
PayPayは、その圧倒的なユーザー数の多さにより、導入するだけで集客力向上が期待でき、機会損失を防ぐことができます。
国内最大級のユーザー数 PayPayの登録ユーザー数は、2023年10月時点で6,000万人を突破しており、2025年9月時点では7,100万人以上とされています。
これは日本の人口の約2人に1人以上が利用している計算となり、幅広い客層にアプローチできます。
来店動機の創出 特に若い世代やキャッシュレス決済を好む層にとって、「PayPayが使えるお店」であることは店舗選びの重要な基準となります。
PayPayを導入することで、キャッシュレス決済を好む新規顧客の獲得につながり、決済方法がないことによる顧客の離脱(機会損失)を防げるでしょう。
販促機能による顧客の囲い込み 「PayPayマイストア ライトプラン」に加入すれば、PayPayアプリ内でクーポンやスタンプカードを発行できます。
これらの機能により、新規顧客の来店を促したり、リピーターの獲得につなげたりすることができ、手数料以上の売上増加を見込むことが可能です。
会計業務を効率化できる
PayPayのようなキャッシュレス決済を導入することで、現金の取り扱いが減り、店舗側の会計業務を大幅に効率化できます。
レジ締め作業の簡略化 現金の受け渡しがなくなるため、おつりの準備や精算が不要になり、レジ締め作業の負担が軽減されます。
売上管理の一元化 PayPayによる決済時の売上データは、加盟店管理ツール「PayPay for Business」で確認・一元管理できます。
これにより、日別・月別の集計が自動で行われ、経理作業の時間短縮につながります。
防犯対策 店舗に大量の現金を保管する必要がなくなり、盗難や紛失のリスクが低減します。
特に夜間営業が多い店舗では、現金を置かないことが有効な防犯対策となります。
また、夜間金庫に行く手間も解消されます。
人的ミスを減らせる
PayPay決済は、現金のやり取りが発生しないため、店舗運営における人的ミスを軽減できるという大きなメリットがあります。
釣銭ミス・数え間違いの回避 現金を直接扱う機会がなくなるため、小銭やお札の数を間違える、間違った金額のお釣りを渡すといった金銭管理のミスを未然に防ぐことが可能です。
金銭管理のミスは直接的に売上に影響を与えるため、これを回避できることは重要です。
会計時間の短縮 顧客はスマートフォンでQRコードを読み取るだけで簡単に支払いを済ませられるため、財布を開けてお金を取り出したり、お釣りを受け取ったりする時間が節約され、会計時間が短縮されます。
これにより、特に混雑時の店舗の回転率向上にも寄与します。
このように、PayPayは決済手数料が有料化された現在も、コストメリットと利便性、集客力の高さから、店舗のDX化を推進し、効率的な店舗運営を実現につながります。

